大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和39(オ)395 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人栗脇辰郎の上告理由について。

所論は、原判決の憲法二九条一項違反をいうが、その実質は、原判決の判断につ

いて単なる法令違反を主張するに過ぎない。そして、原判決は被上告人の権利濫用

の点を看過し審理不尽の違法があるとの所論は、原審が主張していないことがらで

あるのみならず、原判決は、Dは本件建物の底地について厚生省関東信越医務局出

張所における上司の了解を得てこれを使用していたことは認められるけれども、本

件全証拠によるも、右使用につき黙示にせよ被上告人の承諾のあつたことを認める

ことができないとし、かえつて被上告人は厚生省関東信越医務局出張所及びDに対

し、本件建物の底地部分の使用に異議を述べ建物の撤去を求め、後にこれが譲渡さ

れると、譲受人たるE及び上告人に対しても右建物の撤去を求めていたことが明ら

かであると判示しており、原判決の右認定判示はその挙示の証拠により肯認できる

から、Dに本件建物の底地部について被上告人に対抗し得る占有権原のなかつたこ

とは明らかであり、上告人に対し本件土地の明渡を求める被上告人の請求は正当で

あり、何ら権利の濫用に亘ることはない。論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 田 誠

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

- 1 -

裁判官 松 田 二 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!